WRITER技術課 北田尚稔
東岡山工業高校から、研修で1年間お世話になっている北田です。趣味はバイクですが、今回は私の習い事「面打ち」について書きます。
写真は「二十余」といい、倉敷が舞台の能「藤戸」で、若くして殺される役に使われます。これを「打つ」(作るとはいいません)前に能を見て、半年で完成しました。この物語は源平藤戸合戦で、源氏軍の佐々木盛綱が藤戸の浅瀬を若い漁師から聞き、口封じのために漁師を殺害し、浅瀬を馬で渡り平家軍に勝ちます。漁師の母親が恨みを訴え、盛綱は法要を行います。若者の亡霊が現れますが、供養に満足して成仏するという話です。「面打ち」は技術が身に付くだけでなく、歴史や人物の勉強にもなります。
「二十余」の目は、銅板に金箔を貼った物が取り付けてあります。この作業も、昔の人は水銀に金を溶かし込み、それを塗って水銀を蒸発させていたようです。3か月ほど前に金めっきをする作業があり、銅の廃材に直接金めっきをしてみました。きれいになると思っていましたが、全くきれいになりませんでした。後で聞くと、ニッケル下地でないときれいにならないとか、銅ストライクめっきをしてニッケルめっきをするとか、とても勉強になっています。
研修も残り少なくなってきましたが、めっき作業、観察方法、測定方法などいろいろな仕事を通じて得た知識を、今後活かしていきます。最後までよろしくお願いいたします。
オーエム産業㈱ 技術課 北田尚稔(ドットヨム134号:2012年12月)