2007.10.01

名誉会長の昔あれこれ

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235号 21世紀への想い

オーエム工業四十年史(1985年発刊)に、21世紀への視点という章がある。以下にその全文を掲載する。





戦時中は軍需産業、戦後は再生めっき品、繊維産業そして復興から成長期にかけては自動車産業の発展に支えられて成長して来たのが、オーエム工業㈱でありグループ企業各社である。

いわば業界の下請加工部門として生きて来たオーエム工業㈱にとっての大きな課題は、自主自立経営できる力をプラスすることにある。

その路線はすでに、一貫生産体制、開発部門の設置による自社商品の開発・販売、そして分社経営による技術先行型企業への飛躍が今後の課題である。

同時に、特に成熟期を迎えた自動車産業界への対応として、新しい付加価値の創造と新しい市場開拓を考えなければならない。

事業のライフサイクルは、既に産業界の主役交替の苛酷な法則――石炭・繊維・セメント・造船等、かつて時代の頂点にいた企業が表舞台から次々と姿を消している――が示している。

21 世紀への生存を賭けて、オーエムグループ各社は企業の課題を洗い出すと共に、企業の保有している人的、物的、技術的等あらゆる経営資源の棚卸を行い、その 課題への今日的対応を急がねばならない。特に高度成長期には、小さな組織を求めて分社経営を行って来たが、低成長に入った今日、グループの相乗効果を上げ る組織を考えなければならないだろう。

いずれにしても21世紀は目前である。現在までの顧客、そして人との繋がりを真に大切にし、つぎなる3本の柱を軸にオーエムグループの事業展開を行っていきたい。

まず第1の柱は、今日までの大きな成長の原動力となった自動車加工部品について、特に専門部品メーカーへの脱皮を図る。

第2の柱は、何と言っても今日の成長の基礎をなし、オーエムグループのルーツである表面処理技術を生かして、総合かつ専門表面処理メーカーをめざす。

最後に第3の柱は、多角化の最初に手がけた住宅関連商品・建築資材・物流機器等の分野を発展させ、建設関連商品メーカーへ飛躍することである。

事業は"創造―成長―成熟―そして衰退"へとサイクルを繰返す。従って成長期には次なるリスクの中で真の安定を求めて企業経営を行っていかねばならない。

21世紀には、オーエム工業㈱を母体としたグループ企業を、現在の各事業を基盤に、新しい商品・事業を加え21世紀を脈々と生きる企業集団へと育ててゆきたい。




こ の文章は私が会長に退く直前に記したものである。まず思うのは、経営は考えていたようにはいかないということである。大局に立てばこのとおりでもあり、局 面を見れば想像だにしなかった事実が厳存する。ご存じのとおり私は会長に退いて以来、経営には全く口出しをしていないが、経営の本質はその時代その時代に 適応していくことである。また、経営者、管理者はビジョンを描き、目標を設定してさらなる高みに挑むことが大切である。オーエムグループは各社とも目標管 理をおこなっているが、ぜひその気概を持って取り組みを進めてほしい。そして、これからも人を大切にして脈々と生きる、活力あふれた企業集団をつくって いっていただきたい。


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