人生あれこれ 海外視察・旅行の思い出(1-15)島巡り(6)奄美大島

人生あれこれ 海外視察・旅行の思い出(1-15)島巡り(6)奄美大島

奄美大島を訪れたのは2017年の秋だった。その旅は伊丹空港のトイレに搭乗券を置き忘れるというハラハラドキドキハプニングで幕を開けた。搭乗が開始されてから搭乗券の無いことに気付き、トイレまで走ってギリギリセーフで約1時間半のフライトに間に合ったのだ。

 

奄美空港に着くと、島内観光の為にチャターしたタクシーに乗り込んだ。非常に古くて、お世辞にも乗り心地が良いとは言えず、この旅に漂う暗雲を感じたが、島の最北端の奄美十景に数えられる「あやのまる岬」からの眺めは、前面に太平洋、左には東シナ海と雄大で美しく、彼方には喜界島も見えた。

 

おかめ287号田中一村記念美術館.jpg私はおよそ半世紀前に、新婚旅行で徳之島、奄美大島に来ている。当時はまだ沖縄返還前だったので、日本最南端の島であった。

 

次に巡ったのは、不遇の天才画家と言われた田中一村の記念美術館だった。彼は東京美術学校を2ヶ月で中退し50歳で一人奄美に移住し、染色工として働きながら絵を描いたという。日本のゴーギャンとも言われていた田中一村画伯だが、美術館に飾られている絵はさっぱりした水彩画風の絵が多かった。この美術館は奄美の高倉をイメージした高床式の立派な美術館で東京時代、千葉時代、奄美時代の作品80点が展示されていた。

 

楽しみにしていた昼食は、運転手の紹介で、漁師がやっている店でサザエの壺焼きと伊勢エビの刺身を頂き、その美味しさに舌鼓を打った。

 

午後は大島紬村で有名な紬織を見学した。その後、西郷隆盛が島流しされて島の娘と潜居生活をしていたみすぼらしい居宅を見学、西南戦争に思いを馳せた。海の中に、マングローブが増殖して森を形成している様は何とも不思議な光景だっ た。

 

おかめ287号山羊島ホテル.jpgそして、その夜の宿「山羊島ホテル」にチェックイン。「今夜の宿<山羊島ホテル>です」と妻に写メを送った。すると返信があって「山羊島ホテルですか?奄美シーサイドホテルじゃないですか?入り江に建っていて中腹に展望台がある小山があって、そこから海が眺められる。新婚旅行で泊った宿じゃないですか?背景はそっくりだけど・・・」。そんなはずないと思いながら、ホテルの支配人に尋ねてみると「そうです。50年前は奄美シーサイドホテルでした。10年ほど前にリニューアルして山羊島ホテルになりました」とのこと・・・。まったく覚えていなかった事に我ながら呆れた。もうすぐ来るであろう認知症のせいにしてお茶を濁した。

 

翌日の観光は不安が的中し、途中で古いタクシーのエンジンが異様な音を立てた。ボンネットを開けるとオーバーヒートしてラジエターには水がなく、コップとペットボトルで水を注入する。今度はラジエターのキャップが見つからず探しまわる、というアクシデントに見舞われ、散々であった。翌日は1205のフライトで伊丹空港へ向かい15時過ぎに岡山に到着する。色々と予測不能なことの多かった今回の旅であったが、何はともあれ、みんな無事に帰宅することができた。



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