ロシア視察記 その三

ロシア視察記 その三

サンクトペテルブルグは、今や自動車産業のメッカ、ロシアのデトロイトである。トヨタ、GM、現代自動車、スズキ、日産はじめ自動車部品メーカーの大手マグナが同じ工業団地に立地している。トヨタは既に操業を開始し、GMは工場建設中、その他の企業はこれから工場建設を始めようとしていた。政府としては、自動車メーカーの誘致が一段落したので、今後は部品メーカーの誘致を熱心に取り組もうとしており、既に部品メーカー向けの工場団地が造成されていた。


また、ロシア進出の手続きの困難さと複雑さには驚かされた。まずワン・ストップ窓口行政にはなっていなので複雑である。更には官僚の権限意識が強く、これは共産国の行政特有のようであるが、サービス精神に乏しく窓口の提出資料の指導にも不熱心で度重なる書類の再提出、受付後の決済にも時間が掛かるなど、手続完了までには何度も足を運び、そのたびに指導を受け、早急なる受理と決済のお願いをし続けなければならないようである。100億円を越える投資対象案件には、行政から水先案内人を付けてくれるが、それ以下の投資企業では自らが手続きをしなければならないので、たいへんな時間と労力が掛かるそうである。


進出した自動車メーカーには部品国産化の義務付けがなされているが、現地部品メーカーからの購入は品質・コスト面から困難で、日本や欧米の部品メーカーの進出を期待されている。


しかし、今回視察した企業からは、確かにロシアの将来のマーケットには期待できるが、当面の生産量、高インフレ率と高賃金、そして労働の流動性や言葉の問題、行政手続の困難さなどから進出には消極的であった。


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